日本小児外科学会雑誌
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学童期以降に診断されたHirschsprung病に対するLynn手術の有用性
蓮田 憲夫高野 邦夫大矢知 昇鈴木 健之毛利 成昭腰塚 浩三松本 雅彦
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2008 年 44 巻 5 号 p. 651-654

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抄録

【目的】学童期以降に診断されたHirschsprung病(H病)に対するLynn法の有用性について検討した.【方法】1984年12月から2005年12月までに当科で経験したH病症例のうち,学童期以降に診断された症例を対象とした.H病の診断は病理組織学的に診断し,病型診断は注腸検査で評価した.症状が出現した時期,診断時の年齢,性,注腸における病型診断,手術,術後経過について検討した.【結果】当科で経験したH病症例は20例であった.このうち学童期以降に診断された症例は6例で,男児3例,女児3例であった.症状の出現は,3例は幼児期に出現し,2例は出生後から便秘を呈し,1例は不明だった.初診時の平均年齢は13歳7か月(9歳4か月から19歳6か月),注腸検査による病型診断はshortsegment(SS) typeが4例,rectosigmoid(RS) typeが2例だった.外科的治療としてSS typeの4例にLynn法を施行した.RS typeの症例は2例とも新生児期から便秘を認めており,Lynn法を行わず,Duhamel法を施行した.SS typeと診断された1例で術後充分な排便機能の改善が得られずDuhamel法を追加した.Lynn 法を施行した4例中3例で術後排便状態の改善が得られた.これらは新生児期,乳児期に臨床症状を呈さなかったSS typeの症例であった.【考察】学童期以降に本症と診断された患児のうち乳児期に明らかな症状を認めなかった症例の多くはSS typeの可能性が高く,Lynn法により排便の状態の改善が得られ有用であると考えられた.

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