本論文は,
ブルガリア語
のl分詞を伴う述語の諸形式の意味・機能について論じながら,l分詞の共通意味特徴の再定義を試みるものである.l分詞の働きの中には,「証拠性」と「感嘆性」という異質な働きがある.一見,関係がないかのように見えるこれらの働きは,共通の意味特徴によって関連付けることができる.本論文では,この意味特徴を「発話時における話者の意識的関与」,またはより広い意味で「知識に関する話者の態度」と定義付け,この概念は,出来事または発言に対する話者の現在(発話時)の意識的関与の状態という意味要素(「現在性」)を含んでいると同時に,発話時以前の何らかの意識的状態(「過去性」)を想定し,それを現在の意識的状態と対比させるという意味要素まで含意することを示した.また,この概念に含まれている意味要素が,l分詞の原型である「現在完了形」の基本的意味特徴に含まれている同様の意味要素と巧く合致することを論じた.
本論文のもう一つの論点となっているのは,分詞のタイプ,すなわち定過去分詞または半過去分詞が機能の分布を如何に特徴付けるかということである.定過去分詞が現れる形式には,非モーダル及びモーダルな働きがある.一方,半過去分詞が現れる形式はモーダルな働きのみを担っている.
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