テロリズムなどの意図的な殺傷事案での負傷はその大半が爆傷や銃創であり, これらは戦傷においてもその約9割を占める. したがってテロによる多数傷病者への医療対応すなわち事態対処医療 (TEMS : Tactical Emergency Medical Support) では, 有事・軍事における戦術的戦傷救護 (TCCC : Tactical Combat Casualty Care) のノウハウが非常に重要と考えられている. 本稿では, 事態対処医療の概要を紹介し, 実際のテロで発生した傷病者の特徴について解説したうえで, 事態対処医療において脳神経外科医が果たすことのできる役割の可能性について考察する.
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