本州中部以西から南西諸島に広く分布する3種の両側回遊性ヌマエビ類であるトゲナシヌマエビ, ヒ
メヌマ
エビ, ミゾレヌマエビの種やゾエア令期の判別方法を検討するために, 体各部の形態を比較した。3種とも形態が非常に類似していた。唯一, 頭胸甲背面正中線上の隆起の形態や位置によって種を判別することができた。ただし, 第1ゾエア期では隆起が出現せず, 第2ゾエア期においては隆起が不明瞭であったため, 形態による種の判別はできなかった。
ゾエア幼生の令期については付属肢や尾部の形態などにより容易に判別が可能であった。また発達の様式はトゲナシヌマエビ, ヒ
メヌマ
エビではほぼ同様であったが, ミゾレヌマエビはゾエアの期間が短く, 令期数が少なかった。両側回遊型ヌマエビ類ゾエア幼生の種の判別は, これまで色素胞の位置関係によって第1, 第2ゾエア期まで可能であったが, 本研究によって第3ゾエア期以降でも種の査定とゾエア令期の判別ができるようになり, さらにはテナガエビ科など他のコエビ目の幼生との判別も可能となった。
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