2018 年5 月から2021 年5 月にかけて,関東平野を流れる荒川水系の1 細流において採集されたヒメヌマエビ属31 個体の標本を検討したところ,香港をタイプ産地とする陸封種,Caridina logemanni Klotz & von Rintelen,2014 に同定された.本種は年間を通じて確認され,抱卵個体や稚エビも採集されたため,本生息地において定着・再生産していることが示唆された.加えて,C. logemanni の採集地周辺の観賞魚店で販売されていた5 個体の形態も採集された個体とよく一致していたことから,荒川水系における本種の確認例は,観賞目的で流通していた個体の遺棄に由来すると考えられた.本種には標準和名が与えられていないことから,本報において新標準和名「ホンコンクロオビヌマエビ」を提唱する.