本論文は,作成した『2人の戦い』の指導案と熟練指導者の指導の実際,授業者が印象に残った又は気になった3つの授業場面,授業者の省察,参観者の授業評価,児童・生徒の自己評価を通して,『2人の戦い』は,どこに重点を置いてどのように指導すると,学習者が表現系ダンスの特性に触れることのできる授業となるのかを明らかにすることを研究の目的とした。その結果,以下のことが明らかとなった。
○『2人の戦い』において,押さえるべき動きが「すばやく・ストップ・超スロー」に集約されていた。この内容は速さの変化だけでなく,体をねじる,床を転がるまで含めて身に付けることが重要である。
○「すばやく・ストップ・超スロー」の動きの面白さを捉えている学習者が多く,これらの動きを取り入れると 『2人の戦い』の表現に迫力が出てより本物の戦いのようになることを捉えることができた。
○熟練指導者は,良い動きになるために,上下左右の空間を意識させる,体を斜めにひねると床を転がりやすい,気づかせたいポイントが生じたら,それができているペアの動きを積極的に見せる等を加えて指導した。
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