光ルミネッセンス(OSL)年代測定法は,石英や長石などの鉱物粒子から,過去数十万年間の堆積年代を求める手法である.この手法は堆積物自体から堆積年代を求めるのに有用だが,鉱物粒子が運搬・堆積過程で太陽光へ十分に露光していないと,真の堆積年代よりも古い年代が求められてしまう.本研究では,運搬・堆積過程で太陽光に露光しにくい河川性の礫層を対象に,アルカリ長石のOSL年代測定法(pIRIR年代測定法)で正確な堆積年代を求められるか検証した.その結果,統計処理をすることで,武蔵野台地の立川面群の離水年代と矛盾しない堆積年代を立川礫層から求めることができた.さらに,立川礫層の下位に存在する,年代の明らかでない青梅層から堆積年代を求めることができた.OSL年代測定法は,運搬・堆積過程で太陽光に露光しにくい,河川性の礫層から堆積年代を求められる可能性があり,時間指標の乏しい埋没した礫層の堆積年代を求める手法として期待される.
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