抄録
駅の自由通路は鉄道路線に遮断されることなく往来できるため利便性や安全性の向上に貢献している。従って、設置関係者の間では費用は行政の負担が大きいのが妥当とされていることが多い。しかしながら、自由通路設置による経費の削減や乗降客数の変化により鉄道事業者も利益を得ることが予想される。そこで本研究は、自由通路設置事業の現状を把握し、自由通路設置による乗降客数の変化から、設置費用の負担割合のあり方を考察する。自由通路設置前後の乗降客数の変化について重回帰分析を行ったところ、有意な差があることが見られた。また、同路線、同規模の駅で比較した場合、自由通路の設置駅の乗降客数に有意な増加傾向が見られた。それにもかかわらず、行政負担の大きい例が数箇所あることが明らかになった。