ユーグレナ(Euglena glacilis)は豊富な栄養素や機能性成分を含むことから,新しい食品としての展開が期待されている微細藻類であるが,その独特なにおいが食品利用の妨げとなっている.本研究ではユーグレナの脱臭技術開発に向け,脱臭効果の定量評価に必要となる“指標におい物質”の特定を目的とした.嗅覚官能評価の結果,ユーグレナ粉末の発する特徴的なにおいの印象を“磯,ワカメ”と定義した.におい嗅ぎガスクロマトグラフ(GC-O)およびガスクロマトグラフ質量分析計(GC-MS)を用いた化学分析によって,アルデヒド類13種,ケトン類6種,含硫黄化合物1種,計20種のにおい物質をアノテーション(仮同定)した.試料をGC-O分析に供試することで22か所のにおい活性(OA)を感知するとともに,FDファクター値の高い6か所のOAを特定した.それら結果を統合し,FDファクターの高い“指標におい物質”として,1-octen-3-one, (Z)-1,5-octadien-3-one, (E,Z)-3,5-octadien-2-one, 1-decanal, (E,E)-2,4-nonadienal, (E,E)-2,6-nonadienal, (E,E)-2,4-decadienal, 4,5-epoxy-(E)-2-decenalをアノテーションした.
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