本研究の目的は、矯正施設の福祉職が高齢者・障がい者ソーシャルワークで直面する困難性の構造・展開を明
らかにし、その実態を体系的に整理することである。矯正施設の福祉職 9 名を対象として、個別インタビュー及び
フォーカスグループインタビューによる半構造化面接を実施し、修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ
(M-GTA)を用いて逐語データの分析を行った。分析結果から12個の困難性概念が生成し、概念間の関係性から、<
ソーシャルワークができない葛藤>、<矯正への苦慮>、<クライエントの言動への困惑>、<矯正施設出所に向け
た地域調整への焦り>、<支援の行き詰まり>の 5 つのカテゴリーに収斂された。本研究では、概念間の繋がり、カ
テゴリー間の流れから矯正施設の福祉職のソーシャルワークの特徴を提示し、実践現場で直面すると考えられる困難
性の予測に示唆を与えた。
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