非けいれん性てんかん重積状態 (nonconvulsive status epilepticus ; NCSE) を初発症状とした前頭葉てんかんの1例を経験した. 症例は11歳男児で既往歴はない. 5時間持続する見当識障害と異常行動を主訴に受診し, 脳波での持続的なてんかん性放電によりNCSEと診断した. diazepamの投与により, 脳波所見の改善と共に反応性の低下や見当識障害が改善した. 以降, 神経後遺症や発作の再発はない. NCSEは全身性急性疾患や難治性てんかんに合併し, 予後不良な病態と考えられてきたが, 部分発作重積状態や欠神発作重積状態では予後良好な症例が存在する. 特にNCSEを初発症状とするてんかん症例では合併症による障害がなければ, 予後が良好な可能性が高いことが示唆された.
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