2020 年 25 巻 1 号 p. 35-
【要旨】Herpes simplex encephalitis(HSE)は急性経過で意識障害を呈した患者の診療に際し常に念頭におくべき神経救急疾患である。発症から Aciclovir(ACV)開始までの時間が転帰に影響するため急性脳炎を否定できない段階で ACV を経静脈的に開始することが重要である。脳炎症状がいったん軽快した数週間後に増悪することがあり、ウイルスの再活性化がみられない場合には免疫学的機序を介した増悪が考慮される。HSE が N-methyl-D-aspartate receptor などの神経表面抗原に対する自己抗体産生のトリガーとなりうることが報告されており、免疫療法が有効である。