本研究では,仮説設定の思考過程に関する先行研究に基づき,仮説設定を「変数の同定」と「因果関係の検討」に分割した段階的指導法を開発した。変数の同定の段階では,一部の条件(変数)が異なる複数事象の比較を通して事象に関連する複数の変数を見出させるとともに,見出した変数を学級内で共有する。因果関係の検討の段階では,変数間の因果関係を場合分けして整理した上で,自身の仮説を文章化させる。このような指導法の効果を明らかにすることを目的として,中学校第2学年「電流とその利用」の単元で2回の継続的な指導実践を行った。その結果,複数事象の比較を通した仮説設定の段階的指導法は,学習者の仮説設定の質を向上させることが支持された。
抄録全体を表示