本研究は,ボストン科学博物館により開発・実践されている初等エンジニアリング教育のカリキュラム:Engineering is Elementary で使用される特徴的な教材であるストーリーブックの構造や特徴を分析することを目的とした.20のストーリーブックに示される各物語に共通する事象であるスキーマは,『問題発生』『解決策の手がかり』『解決策の構想』『専門家との出会い』『エンジニアリングデザインプロセス(EDP)の説明』『調査』『製作・改良』『実行・使用』と特定できた.また,物語の深層的な対立関係を【問題の発生⇔問題の解決】【経験的な知識⇔テクノロジーに関する知識】【独自の解決方法⇔適切な解決方法】として訴求構造を図示した.その結果,各物語の主人公がテクノロジーに関する知識とEDP を習得して問題解決する過程に,読者である児童が共感して学習することが期待されていると考えられた.
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