7位にメトキシ基を有する3-フェニルクマリン型化合物が,合成繊維用ケイ光染料としてかなりの耐光性を有することが著者らの研究の結果判明した。本報においては,3位のフェニル基の
p-位にクロル,カルボン酸,カルボン酸アミド,スルホン酸アミド,スルポメチル,メチル基等の置換基を有する化合物をそれぞれMeerwein反応によって合成し,これらの化合物のジメチルホルムアミド溶液中の紫外部吸収スペクトルとケイ光強度を測定した。また各種合成繊維染色布(ポリエステル,ナイロン,ビユロン,ポリアクリロニトリル)上のケイ光極大波長,ケイ光相対強度および耐光性を測定した。これらの化合物のジメチルホルムアミド中の分子吸光係数を置換基について比較すると,クロル基>カルボン酸アミド基>カルボン酸基>スルポメチル基>メチル基>スルホン酸アミド基となり,2×10
-4mo1/1溶液のケイ光強度はカルボン酸アミド基>スルホン酸アミド基>カルボン酸基>クロル基>メチル基>スルポメチル基の順となった。また各種染色布のケイ光性は一般にポリエステル上において良好な結果を示しており,特に置換基がクロル,メチル,スルホメチル,カルボン酸アミドの場合に優れた増白効果および耐光性を示した。
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