本研究は,住吉大社御文庫蔵書を主な資料として,大阪を所在地とする発行所から刊行された絵本の成立の解明を目的としている.本稿では,近世から大阪の心斎橋筋で出版活動を行っていた田村九兵衛が大正期に刊行した子ども用絵本を事例とした.「御文庫」の概要と心斎橋筋の出版文化の変容,および田村九兵衛の絵本の傾向を素描することを通して,田村九兵衛が直面した近代化の問題を検討した.
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