症例は9 か月の男児.主訴は臍部膨隆と咳嗽.生下時から臍ヘルニアを指摘されていた.8 か月時,嵌頓の徒手整復後に紹介され,以降当院外来でフォロー中であった.2 週間後,臍の膨隆と不機嫌,上気道炎症状のため時間外で来院した.臍はピンポン球大に緊満し,徒手整復不能のため緊急手術を施行した.ヘルニア門は径15 mm,回腸末端,盲腸,虫垂が嵌頓し,色調はやや不良で囊内に漿液性腹水を認めた.ヘルニア門に切開を加えて腸管を還納し,臍ヘルニア修復術と皮弁による臍形成を行った.術後5 日目に退院し,術後4 年の現在まで再発なく経過良好である.小児臍ヘルニアは,自然閉鎖の可能性が高く乳児期は経過観察されることが多いが,まれに嵌頓することが知られている.自験例を含めた本邦14 例の臍ヘルニア嵌頓例を解析し,その成因について考察を加えて報告する.
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