天蚕繭と家蚕繭を混合して, 天蚕糸混用率の異なる生糸を繰製し, その生糸からさらに混用率の異なるたて糸用撚糸をつくった。また天蚕繭を開繭, 展綿して真綿とし, よこ糸用紬糸を紡糸した。これらの素材を使って白紬を製織し, 天蚕糸の混用率と糸および織物の機械的性質について試験した。大要つぎのような結果を得た。
1. 混用率が大きくなると, 荷重-伸長曲線において, 初期弾性領域, 延性領域および補強領域の区分が明りようにあらわれた。生糸よりも精練撚糸において, より明りようにあらわれた。
2. 混用率が大きくなるにしたがって, 強力およびヤング率は小さく, 伸度は大きくなった。
3. 混用率が大きくなるにしたがって, 収縮率は増大した。その傾向は撚糸よりも生糸の方が顕著であった。
4. ヤング率および収縮率は各混用糸の性質の和としてあらわれるようであるが, 強力および伸度はそれらの和より低下する傾向が見られた。
5. 混用率が大きくなるにしたがって, 剛軟度と防しわ率は小さく, 圧縮弾性率は大きくなる傾向を示した。
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