【目的】片麻痺患者における四肢周径を急性期から在宅まで評価することで、エネルギー摂取量と消費量が体重および周径に与える影響を検討する。
【方法】対象:視床出血・右麻痺。70 歳代・男性。初期評価時、体重54kg、BMI21.5、BRS 4-4-3、Barthel Index 5 点、m-FIM 17 点。発症7 週目に回復期に転棟。19 週目にT 字杖歩行自立し自宅退院。測定項目:体重、麻痺側・非麻痺側の大腿周径(膝蓋骨上0cm、5cm、10cm、15cm)、下腿周径(最大)、上腕周径(最大)、入院中は隔週で18
週間10 回、在宅は発症24 週に1 回、計11 回測定。エネルギー摂取量と推定消費量は、入院中のみ毎週記録。
摂取量は当院栄養課の記録を使用。消費量はハリスベネディクトの式から算出。摂取量と消費量の差からエネルギー蓄積量を算出。本研究は対象者に十分説明し同意を得て行った。
【結果】0 週、4 週、8 週、12 週、18 週、24 週における体重は、それぞれ、54kg、50kg、50.5kg、51kg、53kg、51.5kg、大腿周径(10cm)は、それぞれ、麻痺側40.5cm、37.5cm、38.0cm、39.0cm、39.5cm、38.5cm で、非麻痺側40.5cm、
38.5cm、38.5cm、38.5cm、40.0cm、39.5cm であった。エネルギー蓄積量は、超急性期(0 週、1 週)と合併症罹患期
(4 週、5 週)において、それぞれ、-24kcal/日、-58kcal/日、-283kcal/日、-290kcal/日であり負の値を示した。それ以外の期間では45~280kcal/日であり正の値を示した。
【考察】発症直後から麻痺側・非麻痺側の両下肢に周径減少がみられ、先行研究と同様の結果を示した。体重・周径の増加が、合併症の改善によりエネルギー蓄積量が正に転換した6 週目以降に見られたことから、合併症によるエネルギー蓄積量の低下を防ぐことが、体重・周径の減少を予防する一因になると考えられた。
【まとめ】脳血管障害においても、エネルギー消費量に合わせて摂取量を適切に調整することが、体重・四肢周径の減少を防ぐために必要な可能性が示唆された。
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