日本視能訓練士協会誌
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一般講演
久留米大学医療センターにおける3歳児健診と弱視の検討
伊東 淳一岡山 裕子河上 なつみ本田 久美山川 良治藤原 裕之野田 理恵落合 典子渡邉 志穂
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2016 年 45 巻 p. 307-313

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抄録

 2009年1月から2010年12月までに視力不良を主訴に久留米大学医療センターを受診、1年以上経過を追えた77例(男児40名、女児37例)の症例より、3歳児健診での弱視の早期発見について検討した。症例は屈折異常弱視50例、不同視弱視20例、斜視弱視7例であった。3歳児健診での弱視の発見群、見逃し群は屈折異常弱視でともに23例(46%)、未健診は4例(8%)、不同視弱視でともに10例(50%)、斜視弱視で発見群は2例(29%)、見逃し群は3例(42%)、2例(29%)が未健診であった。斜視弱視は症例数が少ないため検討対象外とし発見群、見逃し群に分け検討すると各群での屈折値、初診時視力に有意差はなかった。初診時平均年齢は屈折異常弱視の発見群で3.7歳、見逃し群で4.7歳と眼科受診が遅れ、不同視弱視でも発見群で4.6歳、見逃し群で7.3歳と眼科受診が遅れていた。矯正視力1.0まで達成した例は屈折異常弱視で46例中38例(83%)、不同視弱視で20例中15例(75%)であった。1.0未達成例にて見逃し群の初診時平均年齢は屈折異常弱視で4.1歳、不同視弱視で10.3歳と不同視弱視の初診時平均年齢が遅れていた。眼科を受診する初診時年齢が遅いことが判り早期発見に向けて3歳児健診の改善が必要であった。

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© 2016 公益社団法人 日本視能訓練士協会
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