本研究では,暑熱期にブロイラーの飼料摂取量が減少し飲水量が増加することに着目し,飲水によりグルコースを摂取させ,エネルギー不足を補い,生産性に及ぼす効果を調査したものである。試験は1994年と95年の暑熱期に,いずれも1,200羽規模で,35から58日齢までの24日間,4%のグルコース溶液を給与するグルコース給与区と水道水を給与する水道水給与区を設けて実施した。測定項目は,発死率,飼料摂取量,飲水量,ME摂取量,増体量,飼料要求率および1m
2当たりの生産重量であった。
飼料摂取量は,雄,雌とも水道水給与区と比較しグルコース給与区で,それぞれ4.5%と4.8%少なく,その差は雄,雌とも有意であった。飲水量は,水道水給与区に比較してグルコース給与区で,その差は有意ではなかったが,雄で7.5%,雌で3.7%多かった。暑熱による発死率は,水道水給与区の雄が28.8%と最も多く,続いて水道水給与区の雌12.7%,グルコース給与区の雄8.7%雌3.2%の順となり,雌は雄と比較し両給与区とも有意に低く,また,グルコース給与区は水道水給与区と比較し雄,雌とも有意に低かった。増体量は水道水給与区に比較してグルコース給与区で,雄で3.1%,雌で6.0%と,いずれも有意に多かった。また,1m
2当たりの生産重量についても水道水給与区に比較してグルコース給与区で,雄で35.0%,雌で16.2%多く,その差はいずれも有意であった。
以上のように,飲水からのグルコース給与によって,暑熱期におけるブロイラーの艶死率を著しく低下させ,増体の減少を抑制することができた。
抄録全体を表示