気象観測データの気候値,ロボット積雪深計による日降雪量データ,北半球の客観解析データを解析して,北海道と本州の日本海側の降雪特性を比較した.北海道では日降雪量の変動が小さく少量の雪がコツコツと降る傾向があり,本州(特に北陸地方)では変動度が大きく,時々多量の雪が降る傾向がある.北海道の降雪と本州の降雪の間には相関関係が殆ど見られない.北海道の降雪は基準となる地点と高い相関を示す地域が狭い範囲に限られている.本州では南北に広い範囲で高い相関が見られるが,沿岸部同士の相関,内陸部同士の相関となっている.本州の降雪は海面気圧場や500hPa高度場と明瞭な相関があるが,北海道の降雪はこれらとほとんど相関がない.
このような降雪特性の違いが生じるのは,降雪に対する地形効果の違いに加えて,本州の降雪は一般的にシベリアから日本海南部への寒気の南下(季節風)によるものであり,その影響が東北・北陸地方の広い範囲に及んでいるのに対し,北海道の降雪は季節風以外にベーリング海方面に移動する低気圧の影響を強く受けており,その影響が低気圧の強さや移動経路によって異なるためであると推論される.
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