【はじめに】
脛骨遠位部骨折に対してプレート固定を行った症例において, 早期足関節ROM に関与する因子と疼痛について検討した報告は少ない. 脛骨遠位部骨折に対してプレート固定を行った症例の経過を調査し, 早期足関節ROM に関与する因子と疼痛を骨折型, プレート設置位置で検討した.
【対象】
対象は2015 年12 月から2016 年11 月に脛骨遠位部骨折に対してプレート固定を行った10 例とした. 平均年齢58 歳(40
~77歳).AO分類はA3:4例,B2:2例,C1:2例,C3:2例であった.確定的内固定までの期間は平均10日(2~20日)であった.プレート設置位置は前方:7例,内側:2例,後方:1例であった.全例術後1日からMS練習,ROM練習,RICEを行った.全荷重は平均術後8 週(7 ~8 週) で開始した. 以上の症例に対して術後1,3,6 ヵ月の足関節ROM と疼痛部位を調査した. 尚, 全例に症例報告の主旨を説明し, 同意を得た.
【結果】
足関節ROMは術後1ヵ月で背屈平均ROM4度(0~10度),健側比22%(0~50%),底屈ROM平均38度(30~45度),健側比83%(55 ~100%), 術後3 ヵ月で背屈ROM 平均13 度(5 ~20 度), 健側比71%(25 ~100%), 底屈ROM 平均41 度(30
~45 度), 健側比88%(67 ~100%), 術後6 ヵ月で背屈ROM 平均15 度(5 ~20 度), 健側比85%(25 ~100%), 底屈ROM 平均41 度(30 ~45 度), 健側比87%(67 ~100%) であった. 疼痛部位は術後1 ヵ月で全例足関節背屈時に皮膚切開部, 術後3 ヵ月で歩行時に足関節前方部4例, 後方部2例,内側部1例, 外側部1例, 疼痛なし2例, 術後6ヵ月で歩行時に足関節前方部5 例, 後方部1例,内側部1例, 疼痛なし3例であった.
【考察】
術後6 ヵ月の足関節背屈ROM は3 例で不良であり, その内訳はAO 分類A3 が1 例,C3 が2 例, であり, プレート前方設置
4 例であった.A3 の症例は患側足関節の手術既往があった. また術後6 ヵ月に疼痛が残存した症例は7 例中5 例が前方部であった. その内訳はAO 分類A3 が1 例,B2 が1 例,C1 が1 例,C3 が2 例であり, プレート前方設置5 例であった. プレート設置位置が疼痛の有無に関与する可能性が考えられた.
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