性フェロモントラップを使用してハスモンヨトウ雄成虫の飛翔に関する実験を行った。平野の中心点より,マーク雄(人工飼育虫)を放し,その周囲それぞれ,1kmと5kmに円形に配置した計16台のフェロモントラップにより,誘引捕殺した。実験は,5月下旬,7月下旬,9月下旬∼10月上旬に行い,次の結果を得た。
1) 5月下旬,7月下旬には,5km地点のトラップに,マーク雄が放飼の翌朝回収されることから,ハスモンヨトウ雄は,1夜に,5km以上飛翔する能力を有していることが認められた。
2) 5km, 1km地点とも,野外雄の増加に伴い,マーク雄の再捕率が低下した。したがって,野外雌が多い時,マーク雄は,トラップに達するまでに,雌と交尾してしまうために,再捕率が低下すると考えられた。
3) 風向とマーク雄再捕率の多いトラップの方向,および風速と再捕率の間には,明りょうな関係は見出せなかった。
4) マーク雄再捕率の高いトラップは,野外雄の誘殺数も多い傾向にあり,トラップの周囲の条件が,誘殺に大きく影響することがわかった。
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