急性歯槽膿瘍あるいは, 歯周膿瘍7症例より採取した膿汁血から菌の検索を行ない, 6症例に嫌気性菌が分離された。そのうち
Peptostreptococcusが5症例に検出された。一方, 蜂窩織炎, 顎骨骨髄炎または, リンパ腺炎を誘発した原因歯周辺の骨膜下膿瘍8症例からも5症例に嫌気性菌が検出され, うち4症例に
Peptostreptococcusが分離された。15症例から分離された菌株20株を分析すると,
Peptostreptococcus菌株,
Veillonellaは1菌株,
Bacteroidesは3菌株, 嫌気性グラム陽性桿菌は2菌株, Group B
Streptococcusは2菌株,
α-Streptococcusは3菌株であった。
分離された
Peptostreptococcus,
Bacteroides, 嫌気性グラム陽性桿菌とGroup B
Streptococcusに
in vitroの感受性試験からは, 耐性菌は確認できなかった。
犬を使った動物実験で, 分離した
Peptostreptococcus 10
8cells/mlの培養液を1.5ml頬粘膜に接種後, 3日目に頬粘膜と頬部皮膚に腫脹が認められ, 5日目に皮下膿瘍を形成した。
蜂窩織炎10例, 顎骨骨髄炎6例, リンパ腺炎2例の歯性化膿性感染症にCMZを投与し臨床的検討を行なった。投与法は, 成人1回投与量1g, 1日1~3回の点滴あるいは, one shot静注により, 投与期間は3日から10日にわたった。しかし顎骨骨髄炎の2例に関しては, 22ないし23日間という長期投与になった。臨床効果の判定結果は, 著効9例, 有効7例, やや有効2例, 無効0で, 有効率88.9%を得た。
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