単純子宮全摘出術の4年後に腟断端に再発した子宮頸部悪性腺腫 (adenoma malignum) を報告する. 症例は41歳, 1回経妊1回経産婦で, 腟断端腫瘤の生検標本に腺癌が認められたため, 当科へ紹介され受診した. 初診時, 腟断端左側に数個の小豆大腫瘤を認め転移性腺癌を疑い, CTによる全身検索を施行したが, 原発巣と考えられる腫瘍は他に認められなかった. 4年前の摘出子宮標本を再鏡検したところ, 一部の頸管腺は既存の頸管腺領域を越えて小嚢胞を形成しており, その組織像は腟断端腫瘤の生検組織像ときわめて類似するものであった. 免疫組織化学的検索では, 腫瘍細胞の腺腔側の細胞膜上にCEA陽性所見が認められ, 4年前の子宮頸部標本をadenoma malignumと診断した.
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