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クエリ検索: "公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律"
3件中 1-3の結果を表示しています
  • 山田 篤裕
    日本年金学会誌
    2021年 40 巻 4-14
    発行日: 2021/04/01
    公開日: 2021/07/15
    ジャーナル フリー
     本稿では厚生労働省「老齢年金受給者実態調査(2017年)」の個票を用い、老齢年金受給のための受給資格期間が25年から10年へ短縮(2017年8月1日施行)されたことに伴い、(1)どれほどの低所得高齢者が貧困リスクを回避できたか、(2)貧困者で受給資格期間短縮に該当した者の生活保護受給率は高いのか、(3)年金に置き換えられた生活保護費はどれくらいの規模だったか、の3点を分析した。  主な知見として、(1)受給資格期間短縮該当で貧困であった者の中、2割前後が貧困から脱出できたこと、(2)他法優先の結果、それまで年金受給資格のなかった被保護高齢者の3割が年金受給資格を得たが、年金を受給しても生活保護脱却に至らない者が多かったため、受給資格期間短縮該当者の生活保護受給率は高いこと、(3)受給資格期間短縮によって新たに受給する老齢年金によって置き換えられた生活保護費は年額ベースで711億円ないし779億円で、高齢世帯が受給している生活扶助総額の1割にも及びその効果は将来も持続していくと考えられること、の3点が明らかになった。社会保障制度全体からみた政策含意として受給資格期間短縮は、25年以上保険料を拠出することへのインセンティブを弱める懸念があるとはいえ、生活保護受給者を含め、拠出した保険料に応じた給付という、社会保険の性格が貫徹される範囲をより広げたと評価できる。
  • 松本 勝明
    社会政策
    2016年 8 巻 1 号 45-56
    発行日: 2016年
    公開日: 2018/06/11
    ジャーナル フリー

     国際的な経済環境の変化,経済連携の強化などを背景として,外国から日本に来て働く外国人,外国に行き働く日本人が増加すると予想される。このような労働者及びその家族が安心して生活するうえで,適切な社会保障が受けられることが重要である。 しかし,各国の社会保障制度は,それぞれの事情を反映した国内制度として発展してきており,相互に整合性が図られているわけではない。このため,国境を越えて移動する労働者は,社会保障に関して様々な問題に直面する可能性がある。そのことは,労働者やその家族にとって問題があるだけでなく,労働者の移動を阻害する要因となる恐れもある。 本稿においては,国境を越えて移動する労働者を対象として,各国間での社会保障に関する調整が長年にわたり行われてきたEU及びドイツでの取組みを参考にして,外国と日本との間を移動する労働者の社会保障に関して生じる問題を解決するための対応策を検討する。

  • 小野 暁史
    年金研究
    2016年 2 巻 1-48
    発行日: 2016/03/30
    公開日: 2017/04/06
    ジャーナル オープンアクセス

     老後の消費生活を支えるのは、一般的には年金給付を主な収入源とする可処分所得と貯蓄等であるが、可処分所得は収入額から公租公課を控除したものであり、公租公課は、世帯の人的構造(単身、夫婦等)、世帯の収入構造(各世帯員の収入の種類・金額)、さらには各世帯員の年齢や加入する社会保険にも影響される。この結果、世帯の可処分所得は、世帯収入額が同じでも世帯の類型によって異なり、収入の格差と相まって世帯間で相当の多様性を呈していると考えられる。

     そこで本稿では、多様な高齢者世帯ごとの公租公課の現状について一定の具体的イメージを得ることを目的として、世帯員の年齢(59~75歳)等を基準に分類した38の世帯類型をモデルとして設定し、収入の種類(公的年金、給与)及び世帯収入5万円ごと(60~400万円)に、各種公租公課(所得税、個人住民税、国民健康保険料、後期高齢者医療保険料、介護保険料、被用者保険料、国民年金保険料)を一体的に世帯単位で試算し、その状況の観察を行った。

     その結果、高齢者世帯における公租公課の絶対的負担水準はいずれの世帯類型でも高くはないものの、世帯構造や世帯収入額が同じでも収入構造の違いにより世帯間での相対的負担水準に相当の格差があること、同一世帯類型でも世帯収入の増に伴い負担が急増するポイント(限界負担率が100%超)があること等、今後全体的に負担水準が上昇する中でより顕著となり問題ともなりかねない現象が観察されたので、その制度的要因を探るとともに、これらの現象を抑制するための政策提言も行った。

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