キンポウゲ科に属するキツネノボタンに見出されるアシル化D-グルコースについて,第1報にひきつづき検索を行ない,つぎの結果を得た.
1. アシル化D-グルコースを結晶化した.その融点は129°であった.
2. 結晶として単離されたアシル化D-グルコースを構成する酸は2種であり,第1報ですでに明らかにしたギ酸のほかに,今回205nmに強い吸収を示すクロトン酸の存在が明らかになった.なお,ギ酸,クロトン酸, D-グルコースのモル比は1:1:1である.
3. アシル化D-グルコースの比旋光度は[α]
D=+71.7°(水,c=0.98)であり,変旋光は認められなかった.
4. アシル化D-グルコースの赤外線吸収スペクトルでは,エステル結合の存在を示す1753cm
-1の吸収のほかに,α-結合の存在を示す820cm
-1の吸収が認められた.
5. アシル化D-グルコースの過ヨウ素酸酸化の結果,グルコースのC-1とC-6にエステル結合が存在する可能性があることが推察された.
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