目的:
再使用
ダイアライザーによる透析中の白血球・補体系の経時的変化を観察し, 初回使用時との比較を通じて, 白血球減少への補体系の関与と, それに対する膜表面の血液成分による被覆の効果を検討した.
対象と方法: 6名の透析患者を対象とし, セルロース膜を用いたダイアライザーによる連続する2回の透析において, 初回を新しいダイアライザー, 次回を
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として, この連続する2回の透析を1クールとし, 計7クールを行なった.
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の手技は初回透析後4u/m
lヘパリン化生理食塩液2000m
lにて洗浄, 冷蔵保存とし, 次回透析に使用した. 各透析ごとにヘマトクリット, 白血球数, CH 50, C 3, C 4を測定した.
結果: 白血球減少は初回では最初の15分で65.9±8.9 (M±SD)%と高度の低下をみたが,
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時は47.7±16.6%の低下にとどまり, 減少率の差はクリアランス変化を用いた面積補正を行なっても有意であった. 補体系は, 初回では, 最初の15分にCH 50, C 3に有意の低下を認めたが,
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では有意の低下はみられなかった. 白血球減少率と補体各成分の減少率の間には, 初回および
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を通じ, 有意の相関は認められなかった.
考察とまとめ: ダイアライザーの
再使用
により, 白血球減少と補体活性化の程度を軽減させることが可能であった. 血液成分による膜面の被覆が, 血液・透析膜間の相互作用に変化を与えたものと考えられた. セルロース膜を人工臓器材料として用いる場合の生体適合性の示標と考えられているこれら2つの反応は, 適切な膜面処理により防止しうるものと考えられた. また, 補体活性化は白血球減少の一部であることを示唆する.
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