虚血性心疾患を疑い
冠動脈
造影を施行した男性225例 (年齢29~82歳, 中央値60歳) を対象に,
冠動脈
狭窄度と冠危険因子との関連を検討し,
冠動脈
狭窄の重症度評価をなし得る鋭敏な指標, および
冠動脈
狭窄度に影響を与える要因の解明を試みた. 1) 年齢, 空腹時血糖値, 尿酸値, 総コレステロール値, 低比重リポ蛋白コレステロールおよびアポ蛋白B (Apo-B) 濃度は
冠動脈
狭窄度との間で正の相関を認めた. 2) 一日当たりのアルコール摂取量, アポ蛋白AI (Apo-AI) およびアポ蛋白AII濃度は
冠動脈
狭窄度と負の相関を認めた. 3) 糖尿病あるいは高血圧の合併例ではそれぞれの非合併例に比べ高度な
冠動脈
狭窄病変の存在を認めたが, その程度は糖尿病合併例で顕著であった. 4)
冠動脈
狭窄の指標としては, 従来用いられてきた動脈硬化指数に比しApo-B/Apo-AI値が最も鋭敏であり,
冠動脈
狭窄度とApo-B/Apo-AI値の相関は, 加齢とともに高くなり, 非飲酒者, 多量飲酒者, 糖尿病非合併例および高血圧非合併例においても有意であった. 5)
冠動脈
狭窄度を目的変数とし, 主な危険因子である年齢, 糖尿病, 高血圧, Apo-B/Apo-AI値を説明変数とする重回帰分析により
冠動脈
狭窄度の約27%が説明可能であった.
以上より,
冠動脈
狭窄度の指標としては, 従来の動脈硬化指数に比し, Apo-B/Apo-AI値が最も鋭敏であり,
冠動脈
狭窄度に影響を与える要因として, 加齢, 糖尿病の合併, 高血圧の合併, Apo-B/Apo-AIの高値が重要であることが示された.
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