美術教育において時数減や安全性確保から学外の造形活動が難しくなる等,「学習のカプセル化」が進んでいるように思われる。そこで,この課題を解決する手がかりとして,子どもの学びの拡張を促進し,学校の制度的境界を越境した「学びのネットワーク」を形成するとされる「拡張的学習」の理論に着目した。そして,2013年神戸ビエンナーレにおいて実施した「ガチャ玉アート・プロジェクト」を研究対象に,その理論と美術教育との接点を考察することにした。すると,多重連携アート・プロジェクトは,子どもの達や学生の「集団的道具」となり,多様な組織間の超える「学びのネットワーク」を形成し,その学習活動の枠組みを広げ,個々の学びを拡張させる「拡張的学習」の機能を持つ可能性を有していることを見いだすことができた。
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