3Hおよび
11C化合物を含マウス全身切片の組織面とセロテープ面にフィルムを密着露出して, 全身オートラジオグラムを得た。ところが60μのセロテープを介して
3Hの投与部位である背部皮下に黒化像が検出された。
3Hのβ線がセロテープを通過してフィルムを感光させると考えるのは, そのエネルギーからして無理である。したがってこのフィルムの黒化は異常現象であると思われた。そこでこの現象がなぜ生起したのかを究明するため, 専用のX線フィルムおよびカラーフィルムを用いて種々の遮蔽物を介してのオートラジオグラフィを行なった。その結果, このフィルム上の黒化は
3Hのβ線が直接乳剤膜に作用して生起したのではなく,
3Hのβ線とセロテープとの間の相互作用の結果によることがわかった。そしてそれは相互作用の結果生じた
制動放射
の影響であると考えられた。また
制動放射
は他の遮蔽物, たとえばAlバク, ガラス板, カーボン紙, スコッチテープ, それにルミラー膜などでも生起した。
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