治罪法施行(明治15年1月1日)以前の刑事事件の裁判記録については、平成17年度に法務省より国立公文書館へ2862件が移管されている。この資料群は、各地方検察庁が保管していた刑事事件の判決文や供述調書等で構成されており、まとまった形で所蔵している点でも貴重な資料群である。
しかしながらこの資料群については、法制史の研究等においていくつか個別にとりあげられているものの、資料群全体についての分析はこれまでほとんどなされていない。そこで本稿ではこの資料群について、簿冊の名称とその背景にある法律・規程、刑事事件の裁判において作成された文書の流れ、各裁判所の違いに注目して分析を行い、資料群の構造と特徴を明らかにした。
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