直鎖状カチオン生長末端 (M
+) と環化カチオン生長末端 (M
c+) の間の可逆反応及びM
c+のアンビデントな性質を考慮に入れて, 新しい環化重合の機構を提出し, 1, 3-ビス (
p-ビニルフェニル) プロパンのカチオン重合を検討した. その結果, モノマー初濃度に依存しないk
c/k
11が得られ, また重合温度の影響の検討から, この重合はM
+〓M
c+の可逆反応を含む環化重合であることが示された. 活性化エネルギー差 (
ΔEc≠
ΔEp≠) として, 12.6kJ/mol (3.08kcal/mol) が得られた. この新しい機構によって, 溶媒効果が検討され, 電子供与性の低い溶媒中では分子内スチリル基のカチオン部位への選択的な錯化, 電子供与性の高い溶媒中では溶媒分子と分子内スチリル基間のカチオン部位への競争的な配位でそれぞれの効果が説明できた. 混合溶媒中ではいったん生成したM
c+のまわりに溶媒和殼が形成され, M
+への開裂が抑えられるという興味ある結果を得た.
抄録全体を表示