複素関数論においては,実2変数を複素1変数と考えて,その関数の微分可能条件であるコーシー・リー
マンの関係式が重要である.微積分を構築する上での鍵となる関係式だからである.研究紀要[1] では,オ
イラーの公式を一般化し,三角関数と双曲線関数を一般化した新しい2次曲線関数を定義した.研究紀要
[2, 3] では,虚数単位i を一般化し,可換環を変数とする関数の微分可能条件を求め,コーシー・リーマン
の関係式に類似した式が導けること示した.研究紀要[4] では,この条件がヤコビ行列の対角化と関連して
いることを示した.このノートでは,研究紀要[1] で考察したオイラーの公式の一般化をヒントに,複素数
を変数とする複素関数論を,可換環を変数とする可換環関数論へ一般化する.そして,可換環を変数とする
関数の微分可能条件を求め,これがコーシー・リーマンの関係式の一般化であることを示す.
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