1. 幼虫体液より約30種の遊離ニンヒドリン陽性成分を検出し, そのうち ornithine, β-アラニンを含むアミノ酸約20種の定量結果を得た。このうちヒスチジンの量が特に多い。また酸加水分解処理に安定な未確定ニンヒドリン陽性成分3種を検出した。そのほかに定量または検出したものは phosphatidylethanolamine 類, 尿素, アンモニアおよびシスチン, トリプトフアン, グルコサミンなどである。
2. 除蛋白濾液を加水分解してセリン, グルタミン酸, ヒスチジン, ornithine などが増加するのを認た。
3. 遊離アミノ酸濃度はヒスチジンを例外として5令の3日目より7日目の方が一般に低い。特にセリン, ornithine, チロシンがかなり減つている。ヒスチジンのみ7日目にむしろ増加している。塩基性アミノ酸を一般的にみれば, 遊離アミノ酸濃度の最も高いのは5令の前半であるということができる。
4. 5令3日目から120時間絶食させると, 体液遊離アミノ酸のうちグリシンが非常に増加し, またチロシン, ヒスチジン, アンモニア, PEなどが増加している。一方グルタミン酸, セリン, スレオニンなどが減少し, ornithine は消失する。
5. ornithine は幼虫に存在するが, 桑葉や蚕糞には存在しない。
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