アルカリ電池の正極板としての銀-酸化銀電極の容量増加を目的として,電解質としての水酸化カリウム水溶液中に微量の水酸化セシウムを添加したときの銀-酸化銀電極の酸化.還元挙動におよぼす影響について検討し,つぎのような結果を得た。
(1)充放電曲線から,水酸化セシウムの添加によって,銀-酸化銀電極の容量が顕著に増大することが認められた。(2)電流-電位曲線から,水酸化セシウムの添加によって,酸化第一.第二および還元第一.第二のすべてのピークが増大することが認められた。(3)水酸化セシウム1×10
-2mol/l(4.7mol/lKOH)溶液中における電極は,もっとも良好な結果を示した。(4)水酸化セシウム添加の効果は,放電時に銀活物質にたいし大なる効果を示すことが認められた。(5)電子顕微鏡による電極表面状態の観察によると,水酸化セシウムの添加により銀活物質は,無数の微孔をもった結晶粒として,あるいは放射状の結晶生長をすることによって,充放電特性を顕著に改善したものと思われる。
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