岐阜県では,2012年4月より県内の全感染防止対策加算算定病院(以下,加算病院)を対象に,感染対策チーム(ICT)活動の質についてのサーベイランスを開始した.今回,このサーベイランス結果について報告する.2012年4月から2014年2月までの23ヶ月間の,ICT活動(会議およびラウンド回数),薬剤耐性菌等[メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA),基質特異性拡張型βラクタマーゼ(ESBL)産生菌,
Clostridium difficile(CD)トキシン)]の検出,血液培養,擦式アルコール製剤および抗菌薬の使用量についての毎月のデータを解析した.その結果,ICT会議の開催回数,血液培養の複数セットの採取率,擦式アルコール製剤の使用量の増加が認められた.一方,MRSAの新規検出率は増加,ESBL産生菌の新規および総検出率は軽度増加傾向にあり,MRSAの総検出率,CDトキシンの検出率には,明確な増加や減少傾向は認めなかった.抗菌薬の使用状況にも大きな変化は認めなかった.本サーベイランスにより,岐阜県内の加算病院の感染対策活動の実態把握が可能となった.また,一部の調査項目,特にICTの努力で比較的改善しやすいと考えられる項目に関しては,有意な改善が認められた.他の項目の動向も含め,引き続き解析を継続したい.
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