日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
特徴的なCT所見を示した子宮広間膜ヘルニアの1例
林 弘賢黒木 嘉人
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2018 年 38 巻 5 号 p. 917-920

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抄録

症例は82歳,女性。心窩部痛と嘔吐で救急外来を受診した。単純CTで小腸イレウスと診断され,絶食補液管理で経過観察する方針となった。入院後イレウス症状は改善せず,3日目にイレウス管を留置した。6日目のイレウス管造影で完全閉塞所見があり,また下腹部痛と炎症反応の上昇から腸管壊死を考慮し同日緊急手術を行った。右子宮広間膜への回腸の嵌頓があったため,子宮円索を切離して腸管の嵌頓を解除した。腸管に壊死所見があり,壊死腸管を含め回盲部切除+機能的端々吻合を行った。右子宮広間膜の縫合修復を行い手術終了とした。RetrospectiveにCT画像を検討すると,子宮は左方腹側に圧排され,子宮近傍右側に腸管閉塞を疑わせるcaliber changeを認め,また同部位に一致して右子宮広間膜の伸展を認めた。子宮広間膜ヘルニアに特徴的な所見を示している症例であった。現在,外来で経過観察し異常は認めていない。

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© 2018, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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