教育制度や教育内容をも含めた教育の現代化の中心課題は,とりもなおさずその国の未来を担う子どもたちを,対象教科を通じてどのように育てるかにあるといっても過言ではないと思う。そういう願いをこめて行なわれる国の教育政策が,具体的に各教科の教育課程に反映されるのは当然であろう。カラチプランにより,アジア諸国の教育の現代化が具体的な施策をも含めた実施に一歩を踏みだしたのは,1959年のことであった。台湾における教育の現代化は,これとともに急激に整備され,1968年には,義務教育9年制度の実施が成立した。こういった背景をふまえて,音楽教育によってどういう子どもが育つのかについて,台湾における音楽科教育の教育課程を分析することにより,その意図と内容,方法を含めて検討し,さらには台湾の将来の音楽教育の発展に寄与するのが,本研究の目的である。
抄録全体を表示