【はじめに】
現在、患者のニーズが多様化する中、民間病院の特徴を生かした地域密着型の医療の提供が必要とされている。また、軽度の要介護認定者が増加する一方で、介護サービスは必ずしも軽度者の状態改善・悪化防止につながっていないことから、介護予防が注目されている。そこで、平成16年より地域に根ざした医療の提供、及び健康への意識の向上を目指し、地域住民に対する講習会を開催した。参加者を対象に講習会の満足度についてアンケート調査を実施し、若干の知見を得たので報告する。
【対象と方法】
当院周辺地域住民を対象に平成16年1月から平成17年6月まで5回開催した。内容は参加費無料で、整形外科分野の代表的な疾患をテーマ別に挙げ、当院の専門医師と理学療法士による講義、体操や日常生活指導等、約2時間のプログラムを実施した。その後、無記名による自記式質問紙法を用いアンケートを実施した。
【結果】
参加者数は延べ281名(平均56.2名)が参加し、アンケートの有効回収率は82%(230名)であった。回答者のうち、年齢層は65歳以上75歳未満41%(95名)、75歳以上85歳未満35%(80名)、85歳以上18%(41名)、64歳以下6%(14名)であった。講習会開催の情報源は
地域新聞
34%(79名)、知人30%(69名)、老連会19%(44名)、ポスター12%(27名)、その他5%(11名)、開催場所や講演時間の満足度「良い」95%(218名)、「悪い」5%(12名)、講演内容の満足度「良い」98%(225名)、「悪い」2%(5名)、今後も講習会に参加したいか「参加したい」96%(220名)、「参加したくない」4%(10名)であった。
【考察】
参加者は年齢層が65歳以上75歳未満と大半を占めており、今後の身体機能低下が懸念される前期高齢者であった。講習会の情報提供手段は知人・老連会に次いで
地域新聞
が有効で、これは地域の社会福祉協議会との連携が重要であることを示している。開催場所や講演内容、講演時間は95%という高い満足度が得られた。これは普段地域住民が利用する馴染みのある場所に出向き講演会を開催したことや、誰もが一度は経験のある内容を具体的なテーマとして題材に挙げたことが有効であったと思われる。自宅でも講習会で学んだことを日常生活で取り入れたいという意見が多く得られたことから、身体についての意識が高まり健康増進・介護予防の一歩となったのではないかと考える。今後は継続的かつ定期的に各々の参加者の身体機能評価を行っていき、講習会内容の効果を評価していくことが課題として挙げられる。
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