疾病構造が多様化し, 医療技術が専門分化されている昨今, チーム医療が疾病治療に効果を発揮していることは周知の事実である.
例えばクリティカルパスや政策医療ネットワークを実践する場合, 各専門職種が互いに連携・協力し合うことによって合理的成果を上げつつある.
このような環境下で, 管理栄養士が医療チームの一員として, 何をすべきかの問題を取り上げ医師, 薬剤師, 看護師, 管理栄養士の立場からこれらの問題を浮き彫りにしていただいた. 各発言者の要旨は以下のごとくであった.
(海瀬)医師の立場から:管理栄養士は主たる業務を従来の給食管理から栄養指導に移して専門性を発揮すべきである. そして彼らは, 個々の患者の栄養状態を評価・判定した上で適切な栄養管理をすべきである. この二点を強調した.
(上西)薬剤師の立場から:管理栄養士と薬剤師が互いに連携・協力し合うことによって効果を上げている事例を紹介し, 他職種間の連携は重要であると述べた.
(田中)管理栄養士の立場から:現在実施しているチーム医療の取り組み(栄養指導時における医師との意見交換や病棟回診の同行など)や栄養士法の改正について紹介した. 加えて, 栄養食事指導の更なる充実, カンファレンスの参加, クリティカルパスへの協力, NSTへの取り組みなどが必要であることを強調した.
(小林)看護師の立場から:療養指導やカンファレンスにおける医師, 看護師, 管理栄養士等の関わりの実情を紹介した. 今後, 管理栄養士に期待したいこととして, 患者情報の把握, カンファレンスの参加, 栄養アセスメントの実施, 情報発信などをあげた. また栄養食事指導の指導点数が低いのではないかと指摘した.
(西野)指定発言(管理栄養士):栄養部門は現在, 事務部門に属している. しかし治療行為の一端を担っている栄養部門が, 業務をより機能的に遂行するためには, 業務と組織が一本化することが必要である. 故に, 診療部門へ移行すべきであると力説した.
以上の報告により, 管理栄養士は今何をすべきかがほぼ明確となった. すなわち栄養アセスメント, NST, カンファレンスへの参加などをとおして他部門と密接に連携を図ること, そして従来の給食管理から, 個々の患者に適した栄養指導と栄養管理をしていくことである. この実践のためには各人が「診療部門の一員である」との強い自覚を持って日常業務に取り組むことが必要である. その結果, 必然的に診療報酬の評価も上がることが期待できるであろう.
抄録全体を表示