民藝運動発祥の地、京都。1929(昭和4)年に開催された「日本民藝品展覧会」を契機に、金関丈夫、菅吉暉、鈴木庸輔、中村直勝、山田保治、湯浅八郎が「京都民藝同好会」(以下、同好会)を結成した。のちに秋葉貞二、小野直養、深瀬基寛、松尾巌も加わった同好会は、戦後に発足する京都民藝協会の前身とされている。しかし、京都大丸百貨店を会場として1933(昭和8)年から5回の「民藝品展覧会」を開催したということ以外、その活動の実態については明らかになっていない。本稿では、「民藝品展覧会」の目録(第5回展の目録は所蔵不詳のため第1~4回のみとする)及び当時の新聞に掲載された記事や広告を基に、展覧会の内容について、また同人たちのネットワークについて検証する。「一度出陳したものは出品しない」主義を掲げ、多数の出品協力者を得て開かれた同好会の展覧会は1937(昭和12)年で幕を閉じたが、同人たちのネットワークはその後も京都のみならず愛媛や福井といったゆかりの地に広がっていった。
抄録全体を表示