【目的】
有酸素運動やレジスタンストレーニング(RT) は, 各々が血糖コントロールに有効であり, 併用によりさらに効果があると報告されている.しかし, 心
大血管疾患
を発症した糖尿病(DM) 患者に対する運動療法の報告はほとんどない. 本研究の目的として, 心
大血管疾患
を発症したDM 患者に対する心臓リハビリテーション( 心リハ) の効果を後方視的に検討することとした. なお, 本研究発表を行うにあたり, 対象者に口頭にて, 本研究発表以外では使用しないこと, それにより不利益を被ることはないことを説明し, 回答をもって同意を得た.
【方法】
対象は2014 年~2016 年現在までに当院外来心リハに参加し, 身体機能評価を実施できたDM を合併した心
大血管疾患
患者8 8 例(6 8 ± 11 歳, 男性6 0 例/女性2 8 例) とした. 当院の心リハプログラムとしては, 準備体操, 有酸素運動, 整理体操, R T で構成されている.有酸素運動は心肺運動負荷試験(CPX)の結果に基づき,嫌気性代謝閾値(AT)レベルでの運動処方を行っている.RT は疾患ごとにガイドライン開始基準を満たした時点で開始し, 半月~1ヵ月に2 種類ずつ追加し実施している.5ヵ月間の心リハ前後でのHbA1c および身体機能を比較した. 身体機能は握力, 膝伸展筋力, 片脚立位時間,CPX のAT および最高酸素摂取量(peak VO
2),6 分間歩行距離(6MWD), 骨格筋量, 体脂肪率を調査した.
【結果】
DM を合併していた心
大血管疾患
患者の心リハ前後での比較ではHbA1c が6.8 ± 1.1% から6.5 ± 0.6% に有意な改善を認めた.身体機能は膝伸展筋力(178.6±57.4→189.0±50.3N・m/kg,%), 片脚立位時間(49.0±40.4→53.7±39.0秒),peak VO
2(15.7± 6.3 →17.5 ±4.4ml/min/kg),6MWD(483.4 ± 95.6 →525.6 ± 97.0m), 骨格筋量( 体重比)(38.1 ± 6.2 →39.1
±4.7%), 体脂肪率(29.2 ± 8.0 →26.9 ± 7.9%) で有意な改善を認めた.
【結論】
心リハは,DM を合併した心
大血管疾患
患者のHbA1c の改善に加え筋力やバランス, 運動耐容能, 体組成といった身体機能を改善させることが示唆された.
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