【目的】近年,夫婦共働きや核家族の増加により,両親が長期休暇を取得することや,祖父母の手を借りることが困難となっており,子供の手術の日程調整に難渋するケースが増えてきている.また,小児の全身麻酔手術では体調不良による延期が多く,そのたびに患者家族はスケジュール調整をしなければならない.そこで患者家族の利便性向上を目的に,手術日のインターネット予約システム(以下,ネット予約)を試験導入し,その効果について検討した.
【方法】2017年9月より鼠径ヘルニア根治術などの待機的手術の予約管理に,ドクターキューブ株式会社の提供するネット予約システムを導入した.ネット予約の効果を検証するために,アンケートによる患者家族の満足度調査と,カルテの後方視的検討による手術待機期間調査を行った.
【結果】通常予約群28名,ネット予約群12名からアンケートを回収した.予約方法に対する5段階評価の満足度は,通常予約群で4.1±0.9,ネット予約群で4.8±0.4と,ネット予約群で統計学的に有意に高かった(p=0.027).手術待機期間調査では,通常予約群28名,ネット予約群13名のカルテを後方視的に調査した.初診から手術までの期間は,通常予約群が中央値75日(95%信頼区間:61–106),ネット予約群が176日(54-NA)で,ネット予約群が有意に長かった(p=0.004).
【結論】手術日のネット予約は運用上の大きなトラブルなく導入可能であり,通常予約に比べて患者家族の満足度も高く,新たな手術予約システムとして期待できる.しかし,手術待機期間が通常予約より長くなる可能性があるので,早期手術が必要な疾患への適用には配慮が必要と思われる.
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