本研究では,ICUにおける看護業務の模擬実験を通して,ICU内で取得可能な諸情報を活用し各看護師の5分先のワークロードをリアルタイムかつプロアクティブに予測するモデル構築に臨んだ.5名1組のチーム構成による計30組が2時間の模擬的なICU看護業務を行う実験を実施し,25組の有効データから5分おきのNASA-TLXと看護師(実験参加者)および患者(シミュレータ)に関する諸データを取得した.看護師および患者の諸データを集約処理した130の特徴量から,5分後のNASA-TLXのWWL得点に基づく5段階のワークロードレベルを予測するため,5種類の機械学習手法を適用し,精度を比較した.5段階での予測精度はいずれのモデルでも40%を上回らなかったが,±1の差異を許容すれば,GBDT(勾配ブースティング)によるモデルで80%近い精度を実現できることが分かった.特徴量重要度の検討から,各看護師のワークロードレベルを予測するために,予測対象の看護師のデータだけでなく,他の看護師や担当以外の患者のデータも取り入れることが,予測に有効であることも明らかになった.
日本人間工学会論文賞 2026年受賞論文
VDT作業者の状態を把握する技術は作業効率の向上や健康管理に有用である.作業者の状態や無意識の反応を捉えることができる生理反応の利用を想定し,装着の負担がないRGBカメラを用いた計測手法を開発した.第1報では自律神経系指標を取り上げたが,本報告では集中度や認知的負荷を示す指標である瞬目や視線推定に焦点を当てた.第1報と同じ,13名の健康な成人男性の約8 minのVDT作業中のデータを解析対象とした.顔映像から顔の特徴点を抽出し,瞬目波形と視線を推定した.眼電図を基準として瞬目検出精度を評価し,既存研究より良好な結果を得た.視線推定は視点移動時点と方向の把握には有用だが,注視領域推定は目標とした精度は得られなかった.提案手法の優位性は,特別なハードウェアを要せずCPUのみで実時間処理できることと,低解像度映像から瞬目波形を推定できることにある.これらより,本手法は現場での実用性が高いといえる.
日本人間工学会研究奨励賞 2026年受賞論文
本研究では,事前学習によって単語の意味を学習させることで文脈を捉えてモデル構築する自然言語処理手法の一つであるBERT(Bidirectional Encoder Representations from Transformers)を用いて,航空安全報告制度(ASRS:Aviation Safety Reporting System)によって収集された大量のヒヤリハットデータを対象に,航空分野のレジリエンス・コンピテンスを網羅的に同定することを目的とした.Narrativeと呼ばれる自由記述の報告文575件を用いて,レジリエンスを構成する4能力(予見,監視,対処,学習)も考慮して抽出するモデルを構築した上で,このモデルを用いて42,938件のデータを分析した.Sentence-BERTを用いて,レジリエンスの各能力(予見,監視,対処,学習)が含まれるとされた文をベクトル化し,k-means法でクラスタリングして各クラスタを意味解釈することで,航空関係者がヒヤリハットを事故に至らしめないために活用しているレジリエンス・コンピテンス31項目を見出した.この項目群は,同様の目的を持つ先行研究と比較しても十分な網羅性があることを確認した.また,ここで見出されたレジリエンス・コンピテンスの実務への応用例についても議論した.
テルモ株式会社で製造販売している輸液剤について,取り違えリスクの低減につながるような確認しやすい表示デザインを検討した.看護師にとって確認しやすいかを検証するため,使用される頻度が比較的高い輸液剤10製品を対象に,現在販売している表示デザイン(以下,「従来の表示」)と新規に設定した表示デザイン(以下,「新表示」)を比較した.看護師11名を対象に指示箋と輸液剤の確認課題を与え,誤認の有無,視線情報,確認時間,主観評価を測定した.結果,誤認は従来の表示で1件発生し,主観評価では,新表示の方がわかりやすい,読みやすいという回答が9割以上を占めた.その理由として識別に必要な情報が中央に集中している新表示のレイアウトが有効に働いたことが考えられる.引き続き実使用時の意見も確認しながら,より良い表示デザインを目指し工夫を重ねていく.
日本人間工学会実践論文賞 2026年受賞論文
本稿では,消費者ニーズに応じて開発された保水性の高いフロアウェットシートの心理評価結果を報告する.実験参加者に,保水性の高いフロアウェットシートおよび標準的な保水性のフロアウェットシートを用いた床清掃を課し,清掃前後の気分変化,シートの使用感,清掃の満足感,労力感,達成感,清掃時間を測定した.実験の結果,標準的な保水性のフロアウェットシートと比較して,保水性の高いシートでの床清掃後には,ネガティブ気分が低減することが明らかになった.また,シートの使用感や清掃自体の印象(満足感など)が向上し,清掃時間も短縮された.フロアウェットシートの高い保水性により,床汚れを効果的に除去できたことが,これらの結果に寄与していると考えられる.
特集③人間工学のための計測手法
公開日: 2016/11/05 | 52 巻 1 号 p. 6-12
中川 千鶴
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特集③人間工学のための計測手法 第2部:周囲環境と人体影響の計測(1)-温熱環境と体温調節反応,温熱的快適性-
公開日: 2015/07/25 | 51 巻 1 号 p. 25-35
都築 和代, 久保 博子
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労働者のメンタルヘルス問題の予防に向けた分析
公開日: 2021/08/27 | 56 巻 4 号 p. 138-145
小森 隆史, 高野 研一
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顔面下部のサイズ情報が顔の見かけの大きさに強く影響する
公開日: 2021/12/11 | 56 巻 6 号 p. 222-230
宮崎 由樹, 伊藤 資浩, 神山 龍一, 柴田 彰, 若杉 慶, 河原 純一郎
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iCLO(アイクロ)~ニューノーマル時代の新しい目の休め方~
公開日: 2022/10/20 | 58 巻 5 号 p. 213-222
藤田 博紀, 佐野 研二
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日本人間工学会大会講演集
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