入院患者の心理社会的な問題発生を予測できるよう, 患者が主観的にとらえている身体状態と心理社会的・実存的問題を入院早期に把握できるチェックシートを開発した. 作成後, 協力が得られた本院老年・高血圧内科において実施し, 102名からの回答を得た. 因子分析を行った結果, 「実存的自己価値」, 「主観的な心理社会的状態」, 「心身の自覚症状」 の3因子が患者にとっての主観的なストレス要因となっているという結果が得られた. 筆者らはこれまでの研究において, 心理士は医療スタッフ-患者間のより良い治療関係を促進するための患者理解をサポートしていることについて報告してきたが, 今回の取り組みは, そうした心理士の患者理解の視点を医療スタッフと共有できるツールに発展させることであった. 今後は患者と医療スタッフが協同してよりよい治療環境を作っていくためのスクリーニング票として活用できるよう検討を重ねていく.
抄録全体を表示