投影描画法における描画は, 時に自由連想法における言語を凌ぐ連想道具としての機能を有し, 夢と同様に患者の生活や治療の系列と文脈を理解する上で有用だとされている。中でも投影樹木画法はその個人のより深い真の自己像を投影するため, カウンセリングにおける人格の変化を検討するのに有効な手段と考えられる。特に枝は個人の成長や感知力を反映するとされ, 人格に治療的変化が起こる場合, 少なくとも枝にも何らかの変化が現れるものと予測される。本研究では, 2泊3日の集中的グループ・カウンセリングの参加者21名を対象とし, カウンセリングの効果指標としての樹木画における枝の変化の有効性について検討した。枝の変化についてはBuckおよびGroth-Marnatを主たる分析基準にして評価し, 併せて顕著な枝の変化のあった4例を取り上げ, セッション時の発言と枝の変化の関連について検討をおこなった。その結果, 樹木画における枝の変化はカウンセリングにおける個人の問題意識と自己洞察を反映し, 従って, カウンセリングの効果指標として有効な手がかりであるとの結論を得た。
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