COVID-19肺炎後に低酸素血症となった70歳代前半の症例を担当した.自宅への復帰に向け,労作に伴う低酸素血症状態を軽減しながらのトイレ動作獲得を目指した.一般病棟へ転棟後,リザーバー付き鼻カニュラO2 5L/minの状態でトイレでの排泄練習を行うと,SpO2が77%まで低下したが,症例は楽観的な態度を示し,病識が低下している様子が見られた.セルフモニタリング能力の向上と行動変容を目指し,視覚的フィードバックを取り入れながら動作練習を進めたところ,病棟内では動作遂行が可能になった.しかし退院後の夜間の排泄を見据えた環境調整の提案については消極的な態度を示した.そこで,入院中に家族や在宅スタッフと,入院中の経過に加え,症例の環境調整に対する葛藤について共有するとともに,夜間の排泄状況について定期的に確認をしてほしいことを依頼したところ,経過の中で症例は環境調整を自ら選択し,トイレ動作の遂行が可能となった.
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