背景:肥大型心筋症(HCM)は学校管理下突然死の主要な原因の一つであるが,救急蘇生による救命例が報告され始め,予後が改善している可能性が予想される.
方法:2004年から2011年に
学校災害共済給付制度
に報告された心事故例中,原因がHCMと判断された例を検討した.
結果:調査期間中,HCMが原因の突然死は29例,蘇生後生存例は15例あった.生存例中,ICD埋込後1例を除く14例でAEDが使用された.死亡,生存例ともに男子が多かった.死亡例では幼稚園生や小学生を認めたが,生存例は中学・高校生のみであった.死亡例の48%,生存例の20%が事前にHCMと診断されていた.心事故は死亡,生存例とも運動中に多かった.
結論:非医療従事者によるAEDの使用が普及し,2007年以降はHCMによる学校管理下心停止の救命事例が報告され始めた.心臓系突然死予防のため,さらなるAED普及とICD適応の検討が重要と考えらえる.
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